生花をメインにドライフラワーも きれいな花通年提供
2023年11月3週号
農薬使用量を削減
あわら市 阿閉 誠(あとじ まこと)さん・和子(かずこ)さん
「安心して楽しめるきれいな花を提供していきたい」と話すのは、あわら市城(じょう)の「Atoji彩培園」代表・阿閉誠(あとじ まこと)さん(50)。妻の和子(かずこ)さん(45)とともに、ハウス5棟と露地など32㌃の圃場で、トルコギキョウやストックなど年間10品目以上を栽培する。ドライフラワーの加工やワークショップなどにも取り組む。
誠さんは県外の大手メーカーでサラリーマンとして働いていた。「当時から自然に触れる仕事もいいなと感じており、生産から出荷まで1から自分で行う農業に興味があった」と振り返る。
出身地の富山県での就農も考えていたが、福井県の就農支援の手厚さ、あわら市の広々とした農地の風景に魅了され、家族とともに福井県に移住し、2019年に県の園芸カレッジに入学。カレッジや里親の下で野菜や花きの生産を1年半学び、20年に里親の圃場を借りて就農した。
就農当時は、里親や県の指導員から教わりながら農薬を使用した一般的な慣行栽培をしていたが、できるだけ農薬を使わないようにできないかと考え、野菜生産などで使用する乳酸菌での防除対策を採用。花に虫を寄せ付けず、繁殖活動を抑制する防虫ライトを導入し、農薬の使用量を減らすことに成功した。
生産した食用キンセンカは、安全・安心な花として評判になり、地元企業の薬膳茶や菓子などにも利用されるようになった。
クラフト制作の体験講座
生花での出荷がメインだが、年間を通して出荷できるように、22年から規格外の花などを使ってドライフラワーの加工に挑戦している。自然乾燥やフリーズドライなど、さまざまな手法を用いたドライフラワー作りに夫婦で取り組む。
地元のイベントに参加する際は、商品の販売のほか、和子さんがインストラクターとなりドライフラワーのクラフト制作などのワークショップを開く。
「まだまだ学ぶことは多いが、これから花の生産を始める人にアドバイスができるように、自分なりに土壌分析や水管理などの生産データを集めている」と誠さん。「安全・安心できれいな花を、たくさんのお客さんに届けるために、安定した生産に向けて二人三脚で頑張っていきたい」と話す。
「イベントなどを通して、お客さんとの接点を多くしたい」と話す誠さん(右)と和子さん。商品は市場や地元道の駅などで販売する。和子さんの左は防虫ライト
ドライフラワー用の花は収穫後に専用のインクを吸わせて青やオレンジなど発色の良い色に調整