タラの芽 湧き水利用し水耕栽培
2024年4月2週号
有終の美 後進の活躍に期待
永平寺町 金元 正(かねもと ただし)さん
永平寺町松岡宮重(まつおかみやしげ)の金元正さん(70)は、ハウス(1.8㌃)でタラの芽の水耕栽培を行っている。
コンピュータ関連の仕事を長い間行っていた金元さんは、52歳の時に農業を始めようと脱サラ。元々好物で、面積当たりの収穫量が多いタラの芽を栽培しようと決意した。
タラの芽を栽培する農業者は県内にはいるが、就農当時はいなかったため、山形県や岐阜県の産地で栽培方法を学んだほか、冊子やインターネットなどで独学で情報を集めながら2005年に栽培を始めた。
タラの芽にも様々な品種があり、金元さんが栽培する品種「あすは」は、芽が大きく、病気に強いのが特徴だ。
栽培に欠かせない水は、近くの湧き水をホースで引き込んでおり、水を入れ替える作業が不要なため、効率的な栽培環境となっている。「1人で栽培しているので、できる範囲は限られているが、その中で頑張りすぎることなく続けてこられた」と金元さん。「タラの芽の生産は冬場が最盛期となるため、農閑期にはぴったりの作物」と話す。
タラの芽を食べる習慣がなかった地元では、反応が薄く、栽培を始めることに否定的な意見もあったが、金元さんが引退を考えていると聞き、後継者になりたいと相談に来た農家が3人もいるという。 「高齢になってきたため引退するが、同じようにおいしいタラの芽の生産が引き継がれていけばうれしい」と話す。
19年にわたり続けてきたタラの芽栽培も今春出荷分で引退を考えている金元さん
中央卸売市場に春いっぱい出荷するタラの芽