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ウド栽培 笑顔と元気の源 新たな特産へ

2024年5月1週号

勝山市 荒土町ふるさとづくり推進協議会

収穫は手作業で丁寧に

 勝山市荒土(あらど)町の地元住民団体「荒土町ふるさとづくり推進協議会」では、2008年からウドの生産に取り組んでいる。メンバーの皿澤吉朗(さらざわ よしろう)さん(76)がウド生産の指揮を取っていて、今年も収穫に向けて、メンバー全員で協力しながら春作業に励んでいる。

 

 同団体は元々地元の炭焼き文化を守るために集まっていた。「炭のほかに新しい特産物を作り地域を盛り上げていこう」と、炭焼き小屋の近くにあった約4㌃の休耕田を借り受け、ウド200本を移植。毎年千0~1,500本ほど出荷している。

 同団体が生産するウドは、県の総合グリーンセンターが改良した「福井在来3号」で、茎が太く柔らかいのが特徴。荒土町は標高が高くきれいな山水があることから、同団体のウドは「えぐみが少なく、皮までおいしく食べられる」と、毎年心待ちにしている人もいる。

 圃場の草刈りや肥料まき、収穫は全て手作業。4月12日に実施した春作業では、10名ほどのメンバーが集まり、炭焼き小屋の雪囲いの撤去と周辺の掃除を一緒に行いながら、地元農家から譲り受けたもみがらをウドの芽に掛けた。

 畝に埋められた母木からは親指大の芽が顔を出していて、芽の上に堆肥化したもみ殻を盛ることで、日光を遮断し、根元の白い部分を増やす工夫をしている。

 大型連休前に収穫が始まり、一本一本丁寧に収穫されたウドは、地元の青果市場のほか、同市道の駅「恐竜渓谷かつやま」に5月末まで出荷する。

 皿澤さんは「メンバーは90代近い人もいて、70代の自分は若手のほうだ」と苦笑い。一方で「みんなが元気に体を動かせるところがあることで、元気な顔が見られる場所のひとつとなっている」と話す。

 「生産規模を増やすことは難しいかもしれないが、これからもメンバーと一緒に、勝山の春の味覚を届けていきたい」と話す。

 

今年の春作業をしたメンバー。「ウドは捨てるところがない。特に皮のきんぴらは逸品。ぜひ食べてほしい」と皿澤さん(前列右から2人目)

 

もみ殻まき作業。無理をすることなく、声を掛け合い楽しみながら作業している

 

写真③:ウドの成長を確認する皿澤さん