食育で伝える地域農業 栽培と両立
2024年5月2週号
福井市 野路直美(のじ なおみ)さん
「食べることは生きること。食と地域農業をつなげたい」と話す、福井市下細江町(しもほそえちょう)の野路直美さん(53)は農業に携わりながら食育活動に力を入れる。
非農家で育った野路さんは、小さな花壇でプチトマトやパセリなどの作物を育てた経験しかなかったが、自分で育てた野菜を料理に添えると格別おいしく感じていた。母が地元でクッキングスクールの校長を務めていた影響で、幼いころから食に関心があり、母のクッキングスクールで管理栄養士として勤務。講師を務めながら、地元企業の栄養指導、農産品のレシピ開発などを手掛け、食育活動の普及に努めた。
野路さんは44歳の時に就農。「嫁ぎ先が兼業農家で、力仕事が多く大変なことは実感していたが、いろいろな野菜づくりに挑戦できたことがうれしかった」と振り返る。
2019年までは家庭菜園を開放し、地域の子供たちに収穫体験型の料理教室を開校。農業の楽しさを伝える活動を行っていた。現在は、専門学校や大学の非常勤講師などに加え、農作業にとパワフルに活動する。
野路さんは「福井には農業を大切に思う人と、豊かな自然、先人が整備してきた農地がある。農業の素晴らしさを多くの人に伝え、おいしい料理で幸せになってもらいたい」と話し、「これからもおいしい米や野菜を使った料理教室や地域の食文化に合わせた商品開発に取り組んでいきたい」と笑顔で話す。
自宅前の畑で「忙しい現代だからこそ、料理を作る過程やゆっくり家族や友人と食べる楽しい時間を味わうことで心にゆとりをつくってほしい」と野路さん