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休耕地に花いっぱい 景観守り 癒しの場づくり

2024年5月3週号

高浜町中寄地区・住民団体「蝓蜊(ゆり)の里くらぶ」

「あまり手間のかからない方法で

 

 

 

 

)地区の休耕地をより良い景観に保つことで、楽しみながら草刈りや花の栽培ができるようになった」と話すのは、高浜町中寄(なかより)地区の景観を保全する住民団体「蝓蜊の里くらぶ」の代表・山﨑孝晴(やまさき たかはる)さん(81)。今年も9㌃ほどの圃場に「クリムソンクローバー」が咲き誇っている。

 

 もともと大阪府のアパレル企業に勤めていた山﨑さん。定年を機に高浜町へ戻ったとき、耕作放棄されている農地をみて残念に感じたという。集落の活動で除草作業などを行っていたが、ただ草を刈るだけの管理だったため、なにか楽しみながら有効活用できないかとみんなに相談していた。

 2014年、県が推進していた「花いっぱい運動」の推進員になったことで、休耕地にコスモスを咲かせてみようと思い立ち、メンバーに協力を依頼した。「なるべく手をかけず、景観がきれいにでき、誰もが癒される場所になればいいと思い、花の種を撒いた」と当時のことを話す山﨑さん。

 国道沿いに咲くコスモスの写真を撮っていく人もいたという。その後、ほかの花も試してみようと、20年ごろからクリムソンクローバーも始め、いろいろな植物で景観を保つ活動を続けている。

 10年前に千葉県からUターンしてきた近藤義和さん(71)・美穂子さん(64)夫妻もメンバーに加わり、「草よりも花の方が見た目もよく、道を通る車のドライバーなども癒される。メンバーもそれぞれが楽しめる草刈りや播種作業を楽しむ場所となっている」と義和さんは話す。

 同団体の活動は地区外にも評判が広がり、県内外から景観を見るために集落に訪れる人も多い。また、今年3月には県の「『ふくい最高!』プロジェクト」の「あなたの街のシニアヒーロー」で自然保護部門を受賞した。

 山﨑さんは「私を含め、メンバーは農家ではない人が多いため、地域の農業者や地元住民の協力がなければ続けてこられなかった。みんなの協力やアドバイスのおかげで今の景観が保てている」と笑顔。「メンバーや地域住民みんなの癒しスポットとなれるよう、ハーブ園などにもチャレンジして、地区の自然と景観を守り続けていきたい」と話す。

 

 

いつもの活動集合場所の水車小屋前でメンバーの近藤さん夫妻と山﨑さん(左)地区内外のメンバー16人で活動している

 

4月下旬から咲き始めたクリムソンクローバー。6月いっぱい楽しめる