敦賀市で初 シカのジビエ処理加工施設
2025年4月1週号
「かわいそう」から「おいしそう」へ
獣害の原因となるシカを野生鳥獣肉(ジビエ)に処理加工する施設が、敦賀市に初めて建設され、今年2月から稼働を開始した。
施設を管理する「つぬがじびえ合同会社」の代表・宮迫太一(みやさこ たいち)さん(50)は、猟友会に所属。駆除されたシカの大半が廃棄される現状に「『かわいそう』だという悲しい思いを『おいしそう』だという明るい思いに変えていくことができればいいなと思った」と設立のきっかけを話す。
宮迫さんは、高品質なジビエを確保するため、シカが生きている時点で現場に駆けつけ、自身の手でとどめを刺し、肉質を確かめている。また、施設への運搬は冷凍車を使い、搬入後は保健所の厳格な指導に基づく構造の設備と温度管理で加工を行っている。
宮迫さんは「いずれは、1日に4頭分の処理が行える体制を整えたい」と話す。
3月には猟友会のソーセージ作り体験に肉を提供。ほかに、高品質なペットフード製造の相談や、東京のレストランからの問い合わせも来ているという。
「4月中には、個人客も施設で気軽にジビエ肉を購入できるように調整中。自社で加工したジビエが、県内外のこだわりの飲食店などで使ってもらえるよう、定番の食材にしていきたい」と意気込む。
「ジビエの入門としてはソーセージがおすすめ。食材としてはミンチが使いやすい」と宮迫さん