広報

家族の絆

2017年5月1週号

明確な役割分担で効率よく


「あわてない夫と、段取りなどの準備を怠らない息子。
性格が違う二人だからいいのかも」
とキクさん㊥は話す。㊧輝雄さん、㊨忠さん

坂井市丸岡町の中瀬輝雄さん(66)、妻のキクさん(67)、息子の忠さん(40)の3人は、2007年に家族経営協定を結び、自己完結型で効率的な労力配分により、水稲27㌶をはじめ転作作物として、麦20㌶、大豆5㌶、ソバ15㌶の作付けに取り組むほか、ソバの丸抜きや製粉加工販売も行っている。
忠さんが就農する前は、輝雄さん夫婦で、水稲約14㌶を栽培。米価の下落など農業の先行きは厳しいと考えていた輝雄さん「息子が農業を継ぐことは不安だった」と振り返る。
「農業は労力がかかり辛いというイメージがあるが、父には作った作物への誇りがあり、そうは感じなかった」と話す忠さん。自然と接しながら、大型機械に乗れる農業をおもしろそうだと思い30歳の時に就農。就農後5年間は、「成功より失敗をたくさんしろ。失敗したことは忘れない」とよく父に言われたという。
忠さんが仕事を覚え軌道に乗り出したのを機に、規模拡大を図るため農業機械や作業場を整備。年間の作付け計画は忠さんが作成し、機械作業は輝雄さんと2人で行う。畦や水管理は輝雄さん夫婦が行い、経理事務はキクさんが担当し、役割分担を明確にしている。GPSと通信端末の活用など、農作業の効率化を図っている忠さんに対し輝雄さんは「老いては子に従え」と忠さんの自主性に任せていることもあり、県内のソバ振興やそば打ちの技術継承に力を入れることができている。
跡継ぎがいなく、農業をリタイアする農家が増え、年々経営面積が増えている現状を踏まえ「家族経営にプラスして雇用をいれる分岐点にきている」と忠さんは話し、地域に根ざした受け皿となることを目指している。