広報

コシヒカリを超えてゆけ

2017年7月1週号

産地の期待高まる 水稲新品種


県の普及指導員㊨と上嶋さん㊧


県の倉田参事㊧と同課の小谷主任

コシヒカリを超えるおいしさを目指し、新品種開発を進めてきた福井県は、6年の歳月をかけ昨年12月に1品種を選定、日本一おいしい誉高きお米」との思いを込め「いちほまれ」と命名した。2018年産からの本格導入にあたり、今年は県内131の生産者で栽培が行われている。
「全国各地でコシヒカリが栽培されており、産地区分だけでは高く売れず、品種を変える時期がきている」と話すのは、県農林水産部福井米戦略課の倉田源一郎参事。本県産コシヒカリは、五月半ばの適期田植えや玄米タンパク質含量を抑える管理など、生産者の努力により、一般財団法人穀物検定協会による全国食味ランキングは、5年連続「特A」を獲得。一方、魚沼産と比べて、1俵約5千円の価格差が生じている。
日本一おいしい米を追求した「いちほまれ」。「おいしい」とは何か、都市圏を中心に消費者の嗜好を調査し「甘くて、もっちり、なめらかな食感」が好まれると判明。その味を求めた結果、いちほまれは同協会の食味官能評価では、0.7とコシヒカリの0.55を上回ることができた。
指導関係者は、福井の代表品種に育てるべく、生産者を巡回し栽培指導にも力を入れている。「県内どこで作ってもおいしくするには、意識統一が大切。いちほまれが高く評価されれば、産地として他の品種の底上げにもつながる」と倉田参事は期待を話す。
15年から現地実証栽培試験に協力している越前市の上嶋善一さん(65歳・水稲35㌶)は、「20万種という膨大な数から選抜にあたった技術者の努力に敬意をはらうためにも、生産者は一生懸命作らなければならない」さらに「産地づくりは、皆が一体となり取り組むことが基本。県をあげた販売戦略のもと、ぜひとも他県の追随を許さないトップブランドを目指したい」と強く話す。