安定した周収入目指す
2017年9月2週号
米+採卵+野菜で
「後継は、家業を継ぐだけでなく、他人から技術、土地を継承する時代が来たのかもしれない」と話すのは福井市鉾ヶ崎町の小林英樹さん(33)。3年前にサラリーマンを辞め、複合農業を目指すため、実家の養鶏業に加え現在はトマトをはじめ十数種類の野菜作りの技術習得に励んでいる。
小林さんの実家は、これまで母親が養鶏約2千羽と水稲80㌃を営んできた。鶏は国内でもわずか数㌫に満たない希少価値の高い国産鶏の赤どり「もみじ」だ。たまごは栄養価が高く「もみじたまご」として地元だけでなく、県内外で幅広い世代に好まれている。小林さんは、その養鶏を守りたいと脱サラを決意し、さらに収入を確保するため野菜作りに挑戦。
「野菜作りは未経験で、技術面で不安があった」と話す小林さんは、今年から国の「農の雇用事業」を活用することで、農業の世界と真剣に向き合う環境が整ったとのこと。
同市で野菜作りに取り組む認定農業者の吉田善久さん(62歳・ハウス11棟23㌃)と2年間の雇用契約を交わし半年が過ぎ、苗木の接ぎ木作業を任せられるまでになったが、「天候に左右される野菜作りを一人前に行うにはまだまだ。今後私の地盤を引き継いでもらうためにも、もっと頑張ってもらいたい」と吉田さんは期待を話す。
農業は、サラリーマン時代では味わえなかった収穫という喜びを肌で感じられることもあり「就農を悩んでいるなら、ぜひ雇用事業を多くの人が活用し、農業者が増えていって欲しい」と小林さんは話す。