広報

頑張れ北陸のニューファーマー

2018年4月1週号

独立してまずは水稲から


「地域の方や育ててくれた倉谷代表に、
恩返しがしたい」と話す山本さん

「一人の農業者として、地域から頼られる存在になりたい」と話すのは、兵庫県から2010年に若狭町兼田に移住した山本謙さん(30)。農業研修、法人組織での就農経験と培った信頼を糧に、今年独立し本格的に農業経営を始めた。
山本さんは大学卒業後、同町にある農業研修施設「かみなか農楽舎」で2年間農業の基本を学び、12年から「合同会社たごころ農園(代表社員・倉谷典彦さん)」に就農した。
神戸にいた頃は、近所づきあいは浅かったが、「隣の田に迷惑をかけるな。強いては地域に迷惑をかけるな」が口ぐせの倉谷代表の指導もあり、「地域に少しでも早く溶け込みたい」と積極的にあいさつしをかわしている。今では集落の社会奉仕や行事には欠かさず顔を出す。
そのような中、住まいのある兼田の方からは「家の田を任せたい」という声があがるようになった。また、個人の農家からは「独立しないと農業の本当の面白さは分からない」と言われた山本さん。「今は気付かない事でも、大事な事を見つけられるはず」と自分自身の成長のため独立を決断。当初、山本さんの退職を拒んだ倉谷代表だが「後継者確保はどこも深刻な問題。新たな地でも農園の人間として信頼を築いてほしい」と背中をおした。


「早く経営を安定させ成功してほしい」
と話す倉谷代表㊧と
倉谷正典㊨業務執行役員

兼田集落を担ってきた農家から農地の大半を譲り受けるとともに、ハウスや農業機械なども借りることができた。1年目はまだどこまでやれるか分からないが、管理がおろそかになるのだけは避けたいと、今年は水稲約7㌶作付けする予定。一方、経理の事にはほとんど携わってこなかったため、資金の流れや原価計算の手法はこれからしっかり学びたいという。
「これまでお世話になった農園と施設の看板も背負っていること忘れてはいけない」さらに、「農業は独りでするのものではなく、昔から守ってきた農地を使わせてもらっている気持ちを大切したい」と山本さんは感謝を忘れない。
 今後は、米の直売量を増やすこと、地域を代表する加工品を手掛け地元神戸に出したいと夢を語る。