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農地から生産物まで見える化

2018年9月2週号

 近代農業による「土壌の肥満化」が常態化しており、連作障害などの農業面はもとより、過剰成分流出の自然環境面でも問題になっている。
 AMOA(アモア)株式会社(福井市大宮)では、土壌肥沃係数SOFIX(ソフィックス)を中心に、農地から生産物まで「見える化(数量化)」を行って土壌改良を指導し、良質な農産物の生産に貢献している。

高度成長期以前は、微生物が有機肥料を分解し、農作物の主要肥料成分を適切な量とバランスで供給する「物質循環」を農家が経験と勘で培ってきた。「自然の摂理を規範とした農業体系を目指します」とAMOA代表取締役社長の今野義隆さん。


SOFIXについて説明する今野社長

ここでいう「物質循環」とは、水はけ等の「物理性」、PH・成分等の「化学性」、多種多様な「生物性」が三位一体(さんみいったい)となってスムーズに肥料成分が循環する自然摂理を指す。
 これまでの近代農業は「物理性」と「化学性」の2つを重視した機械化と化学肥料の発展といえる。効率的に収量増加をもたらしたが、農地が本来持っていた有機物組成を破壊し、大量の肥料や農薬を無闇に投入。成分過多の「土壌の肥満化」を促している。そして有機農業が見直されている今日(こんにち)でも本質は同じで、「生物性」は軽んじられている。
SOFIXは立命館大学の久保幹教授が開発した「生物性」を重視した土壌診断の指標である。世界で初めて、土壌の微生物量を計測し土壌の健康状態の「見える化」に成功した。三角形のレーダーチャートで定量化し(図①)、窒素循環の活性度つまり土壌の品質を確認できる。
 同社では土壌診断(SOFIX)・肥料診断(MQI)、有機資材診断(OQI)で、土壌を形成する全てに「見える化」を提供し(図②)、経験や勘に頼らないデータによる栽培指導を行っている。必要であればオリジナルの県産ぼかし肥料や有機JAS認証微生物資材「Amo」を提供。「診断による適切な資材提供で微生物の多様性を助長し、病気や連作障害といった悪条件に強い農地ができます。」と今野社長。「土壌の成分過多・微生物層の画一化を来した近代農業の在り方を変えたい」と話す。

お問い合わせ先:AMOA株式会社 電話(0776)29―183


図①総微生物量を示した三角チャート


図②SOFIXによる土壌診断(見える化)