獣害対策に地域一丸 DJイベントで獣害対策
2018年6月1週号
DJイベントで獣害対策
「獣害対策も里山の農業も楽しみながら」と話すのは丹生郡越前町の井上高宏さん(33)。
井上さんは、8地区に渡る中山間地の水田11㌶で、水稲を栽培。うち、一番山奥にある熊谷地区の3㌶で有機栽培米を栽培している。2017年同地区で、獣害対策の一つとしてDJイベントを開催した。
メッシュ柵×爆竹×爆音パーティーで対策
「熊谷の山水や寒暖差のおかげでおいしい米ができる」と井上さんは話すが、山には広葉樹が多く、木の実が豊富で野生動物のすみかとなっており、獣害に遭いやすいことが問題だ。数年かけて水田を囲むようにワイヤーメッシュ柵を設置した結果
8割ほどの被害減となったが、獣害は絶えなかった。
地区で話し合い、住民が交代で夜10時から明け方まで2時間おきにロケット花火や缶に入った爆竹を鳴らし、見回りを実施した。効果がみられたが、住民には負担の大きいものであった。
そのような中、「夜中に起きている若者が熊谷で、パーティーしたらいいのでは」という発案があり、獣害対策DJイベント「mount of music」を開催する運びとなった。イベントには、約40人が集まり、爆音の中、夜通し騒ぎ稲穂の番をした。イベント後の数日間は、被害がなく、見回りを休ませることができたが、ある程度過ぎるとイノシシは侵入してきた。獣害対策は油断せずに、継続的に行うべきと実感した出来事となった。
獣害に負けず、里山の魅力を発信
同地区ではDJイベントの他に、田植体験などのイベントを開催しており、多くの人が獣害といった中山間地の問題や里山の農業の魅力に触れる機会を作っている。
「住民は見回りを含め、地区全般の事に協力的。人が訪れることは喜び」と地区の渉外担当の水野方勇さんは笑顔で話す。
将来的には、DJイベントを数日間続け、獣害対策と地域の活性化に繋げる構想があり、「里山は日本の財産。皆で守り、魅力を発信し続けていく」と井上さんは話す。