広報

未来へまい進 野菜農家への道 

2020年4月1週号

坂井市三国町 山本 賢一さん 三里浜砂丘地の特産守る

 「昔ながらの作型で参入した。メロンとスイカは、自分も好きだから選んだ面もある。味も形も良くなってきた」と笑顔で話すのは坂井市三国町黒目の山本賢一さん。三里浜砂丘地のハウスと露地でメロンや小玉スイカ、ダイコンなどを栽培している。
山本さんは石川県金沢市の出身で、以前は印刷業の会社に勤めていた。結婚を機に、三国町で野菜農家をしている義父の手伝いに行くようになり、移住と就農を決意。栽培技術を習得するため、2014年8月から半年間「ふくい園芸カレッジ」で研修し、その後1年間、三里浜砂丘地の里親農家の元で経験を積み、農地を探した。16年にハウス3棟(12㌃)と露地で営農を開始。「ハウスはJAのリース事業を利用したが、赤字からのスタート。2年間は、収量も上がらず、思うように栽培を回せなかった」と振り返る。経営確立を支援する次世代人材投資資金と、毎月行われる営農指導員の巡回が助かったという。
昨年末にハウス2棟を増設し、今年から手探りでアンデスメロンの栽培を始めた山本さん。「芽かきなど、丁寧な作業がおいしくするコツ。面積を増やしたため、手間をかけずに品質を上げることが課題」と話す。日中50度を超えるハウスの中でも、全ての作業を一人でこなす。「今は大丈夫だが、ケガや病気、市場価格の変動、自然災害のリスクがない訳ではない」と収入保険と園芸施設共済に加入した。また、農業者年金もかけており、将来にも備えている。
「農業者への支援体制は手厚い。良い品物を作ることで収入も安定してくる。今は全てJAへ出荷しているが、直販なども視野にいれていきたい」と山本さん。カレッジで知り合った仲間と17年から管理しているモモ、オリーブ、イチジクの木に実がつくようになり「営農の傍ら、楽しみながら、実益に結び付けていきたい」と話す。

▽経営内容:ハウス(18㌃)露地(1・5㌶)メロン(アールス・マルセイユ)、小玉スイカ、コカブ、ダイコン、ニンジン

 

「これから間引き作業を始めます」と春作大根の圃場で山本さん