バランス良く多角化推進
2021年4月3週号
株式会社グリーンファーム角屋 あわら市
株式会社グリーンファーム角屋(代表取締役社長坪田清孝さん・あわら市角屋)は、埼玉県出身で同社の園芸・加工執行役員を務める齋藤貴さんへの第三者継承を目指している。石川県の農業法人に勤めていた齋藤さんは2017年から角屋での営農の中心役となり、妻の翔子さんと共に稲作や水田園芸、味噌や漬物の加工販売を行っている。
同社は20㌶、16戸からなる集落営農がもととなっており1999年に法人化し、同市の集落営農法人化を先導した。多角的な経営と継承を目的に20年に株式会社となり、23年には齋藤さんが代表取締役に就任する予定だ。
齋藤さんは「適期に作業を行い、品質の良い物を育てていくことが物作りの基本。角屋ではもともと丁寧な作業が行われており、相性がよかった。地域の協力は手厚く心強い」と話す。
水稲と大麦、大豆に加え、収益を上げようと17年から業務・加工用の大根とタマネギの生産を始めた。4・8㌃の水稲育苗ハウスの有効利用として、ミディトマトの生産も始め、タマネギの苗も育てている。「作業時期が重ならない品目を選んだ。経営の柱は水稲だが、規模に応じて園芸と6次産業化を組み合わせることで、経営バランスが良くなっている」と話す。
コメは慣行栽培のほか、減農薬のコシヒカリを生産し直販にも力をいれている。あわら温泉宿や米屋に直接販売をしているほか、通信販売サイト「ポケットマルシェ」でも販売している。
加工は、地区の公民館の調理室を利用し、青大豆を使用した味噌や大根の漬物を製造し、市内の直売所で販売している。「地区の60~70代の女性はとても元気で料理上手。一緒に新商品を開発しているところ」と翔子さんは話す。
「後継者がやりたいと思えるような魅力的で稼げる農業にしていきたい。加工品も増やして、地域の方が活躍する場を広げていきたい」と齋藤さん夫妻は話す。
「作業スケジュールは毎月地域の方と打ち合わせしています」と齋藤さん
コメと加工品。コメは少量の販売にも対応している
カラフルミディトマトの「越の宝石(じゅえりー)」を今年から栽培している