季語届け 食と投句 広がる輪
2021年6月3週号
品書きを歳時記風に 好評 野菜おまかせ便
「長期化するコロナ禍の巣もごりでは、季節を感じにくくなっている。野菜と季語、俳句から風景やストーリーを想像して四季折々の生活を楽しんでもらいたい」と話すのは株式会社農園たや代表取締役の田谷徹さん(47歳・福井市高屋町)同社ではハウス1・6㌶、路地1㌶で約50品目の野菜を生産し、東日本大震災以降、野菜の詰め合わせを送付する「野菜おまかせ便」を全国に届けている。今年4月から「野菜おまかせ便」のお品書きを歳時記風にして季語を紹介し、俳句の交流会と教室を開き、野菜を通じて楽しみの輪を広げている。
「野菜おまかせ便」は8~10種の旬の野菜詰め合わせの宅配で、毎週火曜に注文を締め切り、木曜に発送される。同封されるお品書きは農園の写真やタイムリーな情報、届いた野菜の説明やおすすめの食べ方が掲載されている。歳時記風にリニューアルされ、野菜を季語として紹介している。俳句例の紹介もあり、グーグルフォームに俳句を投稿すれば、例句として紹介される。
俳句を通じて交流会を開いているほか、初心者でも取り組めるよう農園のスタッフが講師となり、月に1回、俳句教室をZOOMにて開いている。講座や交流会は参加費無料だ。
レシピを通じた交流もあり、野菜を購入した人がツイッターでレシピを投稿しており、クックパッド「農園たやのキッチン」ではそれらをまとめた約160が掲載されている。
同社は大量生産よりも自然のサイクルやシステムを重視。有機物をたい肥にするほか、輪作と混作を実施することで豊かな土壌を育み、野菜を生産する。「香りが高く野菜本来の味がする」と、個人のほか飲食店や販売店のファンも多い。
「昨年から野菜おまかせ便の利用が約2倍に増えている。自由に移動できない日々が続いているが、想像の中ではどこにでも行くことができる。毎日が少しでも良くなるように、野菜や俳句を通じて、多くに楽しみを感じてほしい」と田谷さんは話す。(廣木)
歳時記風の品書きと田谷さん。ルッコラなど季語になっていない野菜は新季語候補としている
野菜のおまかせ便。6品目のミニサイズもある(写真提供=農園たや)