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米を柱に地域農業担う 農地集積生産管理徹底

2021年8月1週号

【農業共済新聞北陸版 8月1週号より】

「自社ブランドの付加価値を上げていくことが大切」と話すのは、農事組合法人大川あぐり(水稲56㌶、大麦34㌶、ソバ35㌶)の代表理事・大川勝利さん(55)。坂井市丸岡町で高齢化等に伴い農地を手放す農家の受け皿として活躍するほか、新たな販路開拓へも力を入れている。

 大川さんは17年間勤務したJAを2006年に退職し、父親とともに同法人を設立。当時は、個人経営が多く、農地集積が進まなかったが、「毎年一つ新しい事にチャレンジし、圃場は荒らさないこと」を経営理念に掲げ、管理する圃場の防除・除草など生産管理を徹底することで、周りから信頼を得た。その結果、当初の作付面積は20㌶だったが、現在では90㌶と4倍以上に急増した。

各地の経営体が経営維持のために、園芸作物や飼料用米など新たな品目に取り組む中で、同法人は稲作を中心とした経営を続け、米の品質管理や販路開拓に力を注いだ。

 社員育成にも力注ぐ

 これまで販売は、卸売業者にそのほとんどを任せていたが、「自ら生産した安全で安心な農作物を消費者へ直接届けたい」と、米などの農産物の検査・精米・販売までを一貫して行う株式会社アグリフーズ福井を16年に設立。

今年6月には、国の産地生産基盤パワーアップ事業を活用し、大規模な米の集出荷施設を建設。精米施設のほか、最大300㌧の米が収容できる低温倉庫が併設されている。今後は個人向け商品の販売を強化していく方針だ。

今年は日本版農業生産工程管理(JGAP)の認証取得にも挑戦している。また、若い社員が楽しんで作業をしてもらえるよう、ドローン(小型無人機)などの導入を目指すほか、社員育成にも力を入れている。

大川さんは「生産にかかる助成金を当てにせず、経営が安定することが一番。5年後までに低温倉庫に収容可能な300㌧全量の販売を目指し頑張っていきたい」と笑顔で話してくれた。

倉庫の前で社員と大川さん(右から5番目)

米300トンを収容できる低温倉庫内部

本年さんから地元直売所で販売予定の「コシヒカリ」のパッケージ