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若者に選ばれる農業に

2021年8月2週号

(合)若狭こすもかんとりー  福井県小浜市

週休2日制 作業しやすい空間 衛生管理を徹底

【福井支局】「若い人にモテる農家になりたい」と話すのは、合同会社若狭こすもかんとりー(小浜市尾崎、水耕栽培青ネギ11棟、菊39㌃、白ネギ38㌃)の代表社員辻直也さん(34)。同社では、週休2日制を取り入れたほか、作業スペースを体の負担が少なくなるように工夫するなど、若い人も働きやすい環境づくりに努めている

水耕青ネギの生産安定

 辻さんは2012年に父親と同じ農業の道に入り、15年に若狭こすもかんとりーを設立。小浜市と地元JAが実施していた自然光利用型の大型ハウス整備事業を利用し、青ネギの水耕栽培を始めた。

 当時、福井県では水耕栽培の青ネギは珍しく、勉強のため、水耕栽培の盛んな島根県の農業法人へ研修に行き、生産技術やノウハウを学んだ。

 「初めの1~2年は福井県の日照時間や気候に合わせた生産サイクルの構築のため、データ収集が主となり、あまり収入には結びつかなかった。それでも、約2年のデータ収集のかいがあり、現在では生産サイクルが安定し、出荷の時期や収穫量を調整することが可能となった」と話す。

 天気のいい日は仕事をして、定期的な休みを取らないという農業スタイルを一新し、若い人も働きやすいよう週休2日制を取り入れ、社員の福利厚生や作業空間づくりに努めている。

 作業スペースは、作業台や水耕棚を腰のあたりの高さに設置し、種蒔きから収穫まで社員の体の負担が少なく行えるよう工夫。また、防疫のための衛生管理を徹底し、ハウス内は土足厳禁のほか、作業前や播種後には必ず服を替え、2~3日に1回は次亜塩素酸で作業靴を除菌するなど、常に清潔に保たれている。

「農業は自然を相手にする仕事なので、時間が不規則で、体もしんどいなど今の若者に受け入れがたい部分が多い。少しでも農業が若者の身近な就職口として認知され、就農しやすい環境づくりを少しでも続けていきたい。」と辻さん。「今後、さらに若者の目を引くような作物を生産したいと考えている。これからの若者にいい意味で注目され、憧れられるようなモテる農家になりたい」と笑顔で話してくれた。

 

「夏は病気を出さないよう、湿度と気温の管理が重要」と話す辻さん

各棟全自動で温度調整でき、出荷に合わせて生育管理をしている

体への負担が少なく作業が行えるよう工夫された水耕栽培棚