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若手農家が終結 思いを一つに 農地を守り続ける

2021年10月4週号

水稲育苗・防除など作業受託 情報共有し知識向上図る

坂井担い手ネットワーク 代表理事・田中 勇樹さん

 

 「坂井の農地を守り、農業を永続的に続けていくための組織として頑張る」と話すのは、坂井市坂井町の「一般社団法人坂井担い手ネットワーク」代表理事の田中勇樹さん(43)。田中農園株式会社の代表取締役も務めながら、同市の株式会社みやざき農園・代表取締役の宮嵜恵介さん(42)と共に今年2月、若手農業者らで同組織を立ち上げた。同組織は、坂井市内の水稲育苗や防除ヘリなどの作業受託をしながら、これからの農業を支える基盤づくりに努めている。

 米価下落や高齢化に伴う地域農業の脆弱化への不安を感じていた田中さんと宮嵜さん。今後の農業について何とかしたいと考えていたが、農業者が個人で行動することに限界を感じ、交流があった農業者に協力を呼び掛け、思いに賛同したメンバーらで同組織を設立した。

 メンバーは30代から40代の若手農業者9人。発足初年の今年は水稲育苗とヘリ防除などの受託作業を取りまとめ、各メンバーで分配して行った。

 また、同組織では、情報共有を目的に、機械実演会の情報収集委員会や肥料購入に係る委員会など4つの委員会を設置し、今後取り組みたいことや気になること、不便に感じていることを委員会で情報収集し、検討。月に1回開催している定例会で、各委員会が協議した内容を報告し、メンバー全員の知識向上に努めている。

 「これまでは、親から得た知識や過去の経験を頼りにやっていて、変えようとする意識は少なかった。この組織の定例会でさまざまな情報を聞き、所属する委員会で、委員としての役割や責任を果たすことで、一人一人の成長につながっているように感じている」と宮嵜さん。「1人で考えるという状況から脱却し、みんなで考えられる環境により、積極的に発言し、動けるようになった」と話す。

 活動に協力するJA福井県坂井基幹支店の竹内重成営農部長は「主力となる若い力が自発的に設立してくれたことはとても頼もしい。これからも地元の農業振興のために力を尽くしてもらいたい。そのためにも、今後も支援・協力していく」と話す。

 「次の世代に向け、長い年月続けられる環境を整えるため、農業者が横のつながりで結束し、一つの方向を向いて農業に取り組む体制を構築したい。最終的には、同市全域の農地を効率よく集積できる受け皿としての役割を担えれば」と田中さん。「これからも地域農業を支えるため、目標に向けてしっかりと取り組んでいきたい」と意気込みを話してくれた。

 

写真①:防除用ヘリの前で田中さん(左)と宮嵜さん

 

 

写真②:定例会で報告する内容を話し合うメンバー