耕作放棄地で牛放牧 見通し良好 獣害減少
2022年4月2週号
一般社団法人 中名田 小浜市
「雑草で覆われ管理が行き届かなくなった耕作放棄地を、牛の放牧で改善させたい」と話すのは、一般社団法人 中名田(なかなた)の代表理事・東 清俊(あずま きよとし)さん(62)。耕作放棄地350㌃で牛を放牧するほか、牧草150㌃とソバ20・5㌃を栽培している。
東さんの住む同市下田(しもた)地区では耕作放棄地が年々増え、以前は田んぼとして使われていた農地も、高齢化や担い手不足により、次第に使われなくなっていった。
「この状況をなんとかしたい」と考えていたところ、同市から牛の放牧をしてみないかと提案があり、この放牧を利用して放棄地が改善できるのではと、了承した。
2019年、若狭町にある福井県嶺南牧場から妊娠中の雌牛3頭を借りて、自身の持つ耕作放棄地で放牧を始めた。「当初は、背丈ほどある草が生い茂っていて、茂みにシカやイノシシが群れで隠れていたこともあった」と話す東さん。
放牧をするようになってから雑草の駆除が進み、周りが見渡せるほど見通しが良くなった。茂みが少なくなり、獣害被害も減少しはじめ、放牧の効果が表れてきたことを実感している。
今年から2頭増やし、地元ブランド牛の若狭牛の雌牛5頭を約400㌃の耕作放棄地に放牧する予定だ。
「放牧地をもっと増やして耕作放棄地を改善し、将来的には農地として復活させられるよう、これからも頑張っていきたい」と意欲を話してくれた。
「妊娠中の雌牛は放牧でストレスが軽減され、圃場管理者も草刈りの回数が減るため、労力が軽減される。一石二鳥だ」と東さん
耕作放棄地での牛の放牧。栄養素不足にならないよう、配合飼料も与えている