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耕作放棄地活用・雇用促進 ホーリーバジルで地域に夢と元気を

2022年6月1週号

茶やハーブ水を販売 カメムシ忌避効果も

福井県池田町 杉茂樹さん

 芳香と効能が特徴の「ホーリーバジル」。池田町(みず)(うみ)の合同会社結舎(むすびや)の代表・(すぎ) 茂樹(しげき)さん(68歳)は、1・6㌶で栽培し、お茶やハーブ水などに加工して販売する。栽培地の拡大や雇用になどにも取り組み、「地域の人の生きがいや元気を生む場を作りたい」と話す。

 ホーリーバジルは、インド原産でシソ科の植物。さわやかな香りと薄紫のかわいらしい花が特徴。茶やハーブ水にすると、抗酸化作用や免疫力を高めるなど多くの効能があるという。

 耕作放棄地で安定して栽培できるほか、特有の香りでイノシシやシカによる食害を受けにくいため、新たな農作物として注目されている。

 杉さんは、千葉県の障がい者福祉施設で働く傍ら、2007年からホーリーバジルの栽培と商品開発に携わっていた。定年退職後、知人の誘いで同町を訪れ、環境のよさと人の温かさに触れ、家族とともに15年に移住した。

 移住後、千葉県で栽培していたホーリーバジルと比べ、草丈は低いものの、葉が肉厚で茎の色が濃く、香りがしっかりと感じられるようになった。杉さんは「今の環境が変化をもたらしているのでは」とみている。

 地域の人から「ハーブ水を室内に散布すると、これまで出ていたカメムシが室内に入ってこなくなった」と聞き、調べてみると、カメムシやムカデなど害虫に対する忌避効果があることが分かった。

 「ホーリーバジルは知られていない効能が多い。これからもっと新しい発見ができそうで楽しみだ」と杉さん。

 今年は同町角間地区でも3㌶で栽培を始め、今後も町内全域での耕作放棄地解消に取り組む予定だ。種まきや収穫の繁忙期と商品加工の時期は、地域の人を雇用し、活性化にもつながっている。

 杉さんは「5㌶の圃場で観光農園を開きたい。今後も地域の人に元気と夢を与えられる場所をつくっていきたい」と意気込む。

 

昨年収穫し自然乾燥させたホーリーバジルを手に杉さん。さわやかな香りがしっかりと残る

ホーリーバジルは5月下旬から播種し、7月に定植、9月から収穫が始まる