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高品質のコメ生産へ スマート農業メリット実感

2022年7月2週号

防除にドローン 節水、時短も  トラクターに自動操舵システム 正確に代かき

岩岡 千賀子さん 福井県勝山市 

「小型無人機(ドローン)での防除やスマート農機を利用して、作業時間の短縮や省力化に成功した」と話すのは、勝山市荒土町(あらどちょう)境(さかい)の岩岡 千賀子(いわおか ちかこ)さん(63)。夫の久(ひさし)さん(64)と二人三脚で水稲9.4㌶、大麦1.3㌶、そば3.6㌶、サトイモ74㌃を栽培している。

千賀子さんは、出産を機に就農し、ドローンやトラクターなどの農業機械の操縦も行う。今年5月には自動操舵システムを搭載したトラクターを導入するなど、スマート農業を率先して取り入れている。

導入したきっかけは、2020年4月に千賀子さんが農作業中の事故で大けがを負ったことだった。1か月の入院と自宅療養で約1年間仕事ができず、子供や親せきの手助けを受けたが、その年は収量も収入も大きく減少してしまった。

久さんと話し合い、お互いに体の無理がきかなくなってきたこともあったため、体への負担を少しでも減らせるよう、ドローンによる防除の導入を決意。21年3月に千賀子さんが操縦免許を取得し、ドローンでの防除を始めた。

これまでは、大量の水で希釈した防除剤を大型タンクに準備し、防除中に重たいホースを引っ張るなど、かなりの労力が必要で、すべての防除を終えるのに1週間ほどかかっていた。

ドローンによる防除を導入した結果、必要最低限の量で、すべての圃場の防除を数日で終えられるようになり、節水と時短に成功した。

22年5月には、自動操舵システムを搭載したトラクターを導入し、NOSAI福井(福井県農業共済組合)が提供するRTK固定基地局(GPS補正情報配信システム)を活用して、田植え前の代かき作業から利用している。千賀子さんは「自動操舵でまっすぐ正確に代かき作業ができるため、何度も往復する手間もなくなって、とても楽になった」と笑顔。「農業は体が資本だが、作業負担は少ないほうがいいのは当たりまえ。機械に頼れるところは頼ってもいいと思う」

「スマート農業を利用することで、今まで追われていた仕事から、生産管理に手がかけられる時間と余裕ができた。これからは、品質管理にも力を入れ、おいしい農産物を届けていきたい」と意気込みを話してくれた。

 

「大型機械は私、細かい作業は夫と、作業を分担して行っている」と話す千賀子さん(左)と久さん

 

「8月から始まるソバや麦の播種で、導入したトラクターの活躍に期待している」と笑顔の千賀子さん