養蜂にやりがい 感動の味残したい
2022年12月2週号
各地で採蜜 多彩な蜂蜜に
福井市・みつばちマーチビーファーム 竹内祥太さん
「福井で採れた蜂蜜の味が忘れられない」と話すのは、福井市中手(なかんて)町で養蜂を営むみつばちマーチビーファームの竹内 祥太(たけうち しょうた)さん(34)。019年に同町に移住し、現在15群のセイヨウミツバチを飼育しながら、蜂蜜の採集・販売を行っている。
愛知県出身の竹内さんは福井の大学に進み、香りや味について学んだ後、香料メーカーに就職した。
15年に知り合いの紹介で大野市の養蜂家が作る蜂蜜に出合い、口に入れた瞬間、実際には見たことがない大野の地やミツバチが飛び交う光景が頭の中に浮かぶほどの感動を覚えたという。その蜂蜜のとりこになった竹内さんは、養蜂家に後継者がいないことを知り、この蜂蜜を絶やしたくないと弟子入り。養蜂の基礎や技術を学んだ。
師匠から受け継いだ3群のミツバチを飼育。少しずつ分蜂し、15群まで増やした。
蜂蜜の採取は花の咲く時期にあわせ、3月ごろから自宅のある福井市で採集を始め、5月には池田町の部子(へこ)山の山奥へ設置し、8月ごろからは池田町のホーリーバジルが咲く圃場へと移していく。
ハチは寒さに弱いため、冬になると太平洋側の温かい地域に移動させる養蜂家が多いが、竹内さんは自宅周辺の圃場の一角を借りて越冬させている。越冬前は蜜の採取を行わず、ミツバチの越冬用の栄養源として巣に蜜を残しているという。
竹内さんの住む地域は雪が多い地域だが「巣箱に雪が積もることでかまくらと同じ状態となり、逆に寒さからハチを守ってくれる。適度に降ってくれた方がミツバチには良い」と話す竹内さん。「自分の感動した福井の味をたくさんの人に味わってもらい、師匠のように誰かを感動させられるものを作っていきたい」と話してくれた。
「巣箱のふたを開けると女王バチや働きバチが目をハートにして寄ってきてくれる」と話す竹内さん
池田町内に設置していた巣箱。1箱に 20,000匹ほどのミツバチが入っている
右から池田町の圃場で採取した「やまの百花」、福井市で採取した「春の百花」、部子山で採取した「トチ」。全て非加熱の純粋蜂蜜のため、自然本来の栄養素や香りが味わえる(写真提供=竹内さん)