豆乳おから 無駄なくおいしくベイクドケーキに
2023年3月4週号
坂井市 農商・堀川清治さん 自社産大豆を使用
オンラインショップで好評
「若い人のアイデアを取り入れた、おからの新しい商品を多くの人に知ってもらい、消費拡大につなげたい」と話すのは、坂井市春江町藤鷲塚(ふじわしづか)の農商(のうしょう)で代表を務める堀川清治(ほりかわ せいじ)さん(73)。黒大豆や在来の青大豆の生産と豆乳などの製造販売を行う傍ら、同集落の末山純司(すえやま じゅんじ)さん(40)が経営するオンラインショップ「Parlor(パルエ)」へおからを提供。おからを使ったベイクドケーキの開発と販売の手助けをしている。
堀川さんは、農薬の使用を減らした黒大豆と在来の青大豆などを10・5㌃で栽培。自社の加工場で加工し、豆乳やオリジナルの水ようかんなどを独自開発し販売している。同社の豆乳は、濃度を薄めずそのままの味で販売。栄養価が高く大豆本来の味が楽しめると県外からも注文がくるほど好評だ。
豆乳を製造する際、大量のおからが発生するが、需要が限られており、堀川さんは近所の人に配布するなどしていた。
同集落に住む末山さんは堀川さんからいつももらうおからのおいしさをもっと有効活用したいと、おからを使ってベイクドチーズケーキを試作。堀川さんや知人に渡してみたところ、大変喜ばれ好評だった。堀川さんはそのおいしさとアイデアに驚き、すぐに自身が参加するイベントで販売しようと提案。初めての出品だったにもかかわらず、完売するほど人気だったという。
栄養素そのまま しっとり感
末山さんは2022年3月に、おからを使ったベイクドチーズケーキとベイクドショコラケーキの専門店をオープンさせ、イベントやインターネットで本格的に販売を始めた。同店の商品はおから本来の栄養素はそのままに、しっとりとした食感が特徴。3種類の味と2種類のサイズがあり、冷凍で提供しているため、冷凍保存が約3か月間可能だ。
堀川さんの知人で野菜ソムリエプロの中島早苗(なかじま さなえ)さんは「おからは食物繊維が多くカロリーを抑えられるなど健康的な食材。末山さんの商品は、おいしくて罪悪感が少なく、満腹になれるケーキ」と太鼓判を押す。
「処理に困っていたおからの新しい商品を開発してくれた末山さんの思いがうれしい」と話す堀川さん。
末山さんは「おからの良さをもっと多くの人に知ってもらうため、『おからみそ』など新しい商品開発にチャレンジしていきたい」と話してくれた。
「末山さんの新しい商品展開が楽しみ」と話す堀川さん(中)と中島さん(左)、笑顔の末山さん
おからショコラケーキ(左)はチョコと生のおからを同分量にしており、おからの食感も楽しめる。右はバクス風チーズケーキ