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サツマイモを究める 5品種栽培+石焼き芋の移動販売

2023年6月1週号

自社製焼き窯を提供 同業者のサポートも
福井県あわら市 (株)ヒゲ農園

 あわら市北潟の株式会社ヒゲ農園では、福井のブランドサツマイモ「とみつ金時」など5品種を同市の畑3㌶で栽培。自社産のサツマイモを使った石焼き芋の移動販売にも取り組むほか、県内外の石焼き芋業者へ出荷するなど福井ブランドの普及拡大に貢献している。

 同社代表取締役の関賢一郎さん(43)は、県内外で石焼き芋の移動販売をしていた。営業を始めて10年目の2019年に、自身でサツマイモを生産したいと一念発起。従業員2人とともに県の園芸カレッジへ入学し、栽培技術を一から学んだ。その後、当時の仕入れ先だった同市のサツマイモ生産者の下で経験を積み、21年に就農した。
 6月か9月の間は雑草と獣害対策などの生産管理、12月から5月までは収穫したサツマイモを使った石焼き芋の移動販売店「ヒゲ商店」を営業する。
 焼き窯は、よりおいしく焼けるよう改良に改良した。移動の負担を軽減するため、台にタイヤを付けた自社製の焼き釜を製造・販売する。

品種の良さを引き出す
 サツマイモは独自の貯蔵法で保存。ほくほくした食感のとみつ金時、濃厚な甘みの「とみつ糖蜜芋」など、品種の良さを最大限に引き出している。
 「これまでも自信をもって提供していたが、自ら生産するようになって、サツマイモへの愛情が深くなり、おいしさを提供する思いもステップアップできた」と関さん。
 毎年50㌧ほど生産するサツマイモは、自社で利用するほか、焼き窯を販売した県内外の石焼き芋業者や近隣の直売所で販売する。規格外は自社で加工し販売するため、廃棄ロスはほとんどない。
 加工品の石焼き芋100%のペーストは、専用の機械で裏ごしして滑らかな口当たりに仕上げており、アイスや菓子などのコラボ商品に利用されている。
 関さんは「これまでの石焼き芋屋のノウハウを生かし、全国の石焼き芋屋のサポートをしていきながら、とみつ金時の認知度をさらに高め、地域ブランドの向上と農地を守る担い手として頑張っていきたい」と話す。

今年開業した同市の道の駅「蓮如の里あわら」では、生のサツマイモも販売

定植後のサツマイモ畑。「担い手不足などで農地が荒廃していかないよう守っていきたい」と関さん