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家族で協力 新たな挑戦 親子3代地域ブランド守る

2024年1月1週号

一から栽培する経験が大事

福井県若狭町・瀬尾佳彦(せお よしひこ)さん(66) 瑛史(えいじ)さん(35)

〇佳彦 父の代から生産する特産「岩屋梨」を息子の瑛史と栽培しています。メインは「幸水」で、「愛甘水(あいかんすい)」や「二十世紀」など多くの品種を生産し、年間を通して出荷できるように工夫しています。

〇瑛史 大阪で働いていましたが、2019年に福井に戻り、農繁期には父の仕事を手伝うこともありました。23年4月から岩屋地区での生活を家族とともに始め、父の下でナシの生産管理を勉強しています。21年に10㌃の農地を整備して、「豊水」と「王秋(おうしゅう)」を植えました。この冬の雪が落ち着いたら、父からもらった省力化のための栽培資料を基に、2本仕立てで枝の誘引をしていく予定です。
 作業の目的や意味を知りながら栽培するのは新鮮な感覚で、分からないことは教えてもらいながら、自分なりの生産スタイルをつくっていきたいです。

〇佳彦 私も大学を卒業後に家業を継ぎました。当時は父親に言われたとおりに作業していましたが、息子には自分のやりたいようにした方が学びになると考え、特に口出しするつもりはありません。
 ゆくゆくは、園地の管理をすべて継いでもらえたらと考えていますが、作業の理由を学びながら生産者としての経験を1歩ずつ積んでほしいです。一から植えて育てることが、ナシへの愛着が湧き、成功や失敗などの経験を積みながら学ぶことが、納得できる一番の方法だと考えています。
 最近は、若い後継者が集落以外からも入ってきてくれるので、お互いに協力しながら、地域のブランドを後世につないでいってほしいです。

▽和ナシ 85㌃

「若手生産者とともに、分からないことは学び合いながら地域を守っていきたい」と話す瑛史さん(右)と笑顔の佳彦さん