福井のバナナに夢乗せて 専用大型ハウスで生育上々
2024年4月1週号
福井市・江島尚希さん
福井市の合同会社えじま農園・代表社員の江島尚希(えじま なおき)さん(62)は、市内の農地3㌶に大型ハウスを建設。県内でも珍しいバナナ農家として家族とともに営農している。
散歩中に偶然、バナナのような葉の植物が、立派に育っている庭を見かけた江島さん。「福井でも栽培できるのでは」と思いつき、調べてみると岡山県や新潟県など他県でも国産バナナが栽培されていることを知った。
栽培を実現するため、定年退職まで1年を残した2020年に脱サラし、県の「ふくい園芸カレッジ」に入学。営農の基本を学んだ後、岡山県のバナナ生産者の下で研修を受けた。
23年にバナナ生産に適した暖房完備の大型ハウスを建設し、10月に150本ほどの耐寒性を持つ苗を移植。現在2メートルほど成長し、春先に花芽をつけ、6月ごろ収穫予定だ。
尚希さんを就農当初から手伝う息子の康介さんは「昔から突然いろいろなことやってしまう父で、毎回、何とかできてしまうことに家族と驚いている」と苦笑いしながらも「バナナ生産をサポートしながら、一緒に農業者として頑張っていきたい」と話す。
「何でも初めてすることは最後まで何が起こるかわからないが、チャレンジすることに意味がある」と尚希さん。「ゆくゆくは、周辺の耕作放棄地などで県産バナナの生産を広めていきたい」と話す。
「バナナの成長過程も楽しみながら、営農していきたい」と江島さん。福井市内の直売所「喜ね舎」などに出荷予定
高めに設計されたハウス