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県代表するレンコン農家へ 住民意見取り入れ加工品も

2025年2月3週号

福井県あわら市 齋藤貴さん

「福井を代表するレンコン農家になり、この地域のおいしさを広めていきたい」と話すのは、あわら市角屋(すみや)の「株式会社グリーンファーム角屋」代表取締役・齋藤貴さん(47)。同社では、水稲や大豆、ダイコンなどの野菜のほか、2021年から県内でも珍しいレンコンの生産に取り組んでいる。

 

 貴さんは埼玉県出身で、農業高校を卒業後、石川県の農業法人に就職。20年間、水稲の生産や農産加工などを行っていたが、次のステップを考えていた時に、共通の知り合いから同社の前身である農業法人の坪田清孝さんを紹介され、家族とともに福井県に移住し、同社に就職した。

 限られた農地で新しい作物の生産を考えたとき、パイプラインが整備されており、水を365日確保ができる環境だったことを生かせるほか、農閑期の冬場に収穫でき、水管理ができれば栽培できるレンコン栽培を発案。他県のレンコン農家にアドバイスをもらいながら、本などで栽培法を独学で学び、生産に着手した

 当初33㌃で栽培していたレンコンは、現在52㌃まで規模を拡大。9月から2月いっぱい地元のスーパーや直売所などへ出荷する。

 前職で農産加工を行っていた経験から、米麹(こめこうじ)などの加工品を始めると集落の人からのリクエストや提案が集まり、今ではポン菓子のほか「れんこんチップス」など新たな商品開発につながった。特にレンコンが入ったおでんのパウチパックは、人気商品の一つで、自社産のダイコンや地場産野菜、厚揚げを使っており、ふるさと納税の返礼品でも人気だ。「集落の皆さんからのアイデアで、自分とは違う目線で新しいものができた」と貴さん。加工部門を担当する妻の翔子さんは「集落の人がとても温かくて、アドバイスもいろいろくれる。みんな協力してくれて盛り上げてくれるので、私たちもその期待に応えられるよう頑張りたい」と話す。

 同社取締役会長の坪田さんは「高齢化が年々進み、新しい担い手を探していた時、知り合いから齋藤さんの話を聞き、経営者として適任者だと思った。夫婦が来てくれて、地域のにぎわいも戻ってきた」と話す。

 貴さんは「地域の人の働く場としてだけでなく、コミュニティーの場として集える場所を提供し、もうかる農業につなげていきたい」と話す。

 

 

「これからも集落の人とともに笑顔で営農していきたい」と笑顔の貴さんと翔子さん夫妻

 

「冬場の収穫は寒さが厳しいが、水温が安定しているので水の中の方が温かい」と圃場を前に貴さん

 

商品の一部は市内スーパーなどで購入できる