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マイライフ

2017年11月4週号

若者と楽しく酒米生産


栽培した山田錦で醸造された日本酒
「鴛鴦(えんおう)」を手に山岸さん

生まれ育ったこの故郷が好きだから」と微笑むのは鯖江市東清水町の山岸哲邦さん(69)。古くから漆器や眼鏡といった「ものづくりのまち」として栄えた河和田地区を活気づけるため、県内外から集まった学生たちと一緒に栽培した酒米で日本酒造りに携わっている。
 同地区は、2005年から学生たちを受け入れ、若者がもつ知性・感性・創造性を活用したアート的事業「河和田アートキャンプ」で地域活性化と社会貢献に取り組んでいる。その活動の一つとして、新たな特産となるよう日本酒造りが15年から始まった。
 酒米作りをするのは農業経験のない学生たちばかりで、企画に誘われた時は、戸惑いもあった山岸さん。しかし、学生たちとの交流を通じ若い感性に触れることで、長年取り組んできた農業において、新たな発見や気付きがあり、農業のすばらしさを改めて実感したという。
 また、栽培するのは酒米品種の山田錦。「栽培したことのない品種だったので、水管理に苦労する面もあったが、良いものを作るために、若者たちと試行錯誤するのは刺激があって楽しい」と話す。
 活動に参加した学生の中には、同地区に移り住む者もおり、「代々受け継がれてきたものづくりの文化に、若者の新しい発想が加わり、新しいかたちで後世につないでほしい」と願いを話す。