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冬季のブドウハウスを有効活用

2018年1月4週号

アスパラ 1~3月に出荷


「促成床はメロンなどの育苗にも使用できる」
と話す川合さん

「3年目にしてようやく納得できるアスパラができたが、収量には満足していない」と話すのは坂井市三国町の川合芳彦さん(50)。ブドウ栽培用ハウスの有効活用として、国産品がほとんど出回らない1月上旬から3月上旬にかけてのアスパラガスを栽培し所得増に取り組む。
川合さんは砂丘地の水はけの良さを生かし、メロンを中心にスイカ・コカブなどの多品目を栽培。反当たり300万円の収入を目指している。一方、ブドウ栽培にも取り組むが、ブドウ単品だけでは200万円と多品目栽培に及ばないため、ブドウ収穫後に栽培できる品目を探していた。
そこで2014年から試験栽培として始めたのがアスパラガスの「伏せ込み促成栽培」だ。露地畑で半年間養成したアスパラガスの根株を11月に掘り上げ、ハウス内に電熱線を敷いた促成床へ伏せ込む。保温・加温することで発芽を促し、冬期間でも収穫することができる。
伏せ込み後は、根株に蓄えられた養分のみで生育するため、養成には気を使うという川合さん。「収量を上げるには根株の出来次第」と話し、根量を多く長く伸ばすため、耕運畝立てして圃場が固く締まらないようするほか、立枯病を防ぐため、スプリンクラーから潅水チューブの散水へと根株養成の管理方法を工夫してきた。


根が長く伸びた根株をもつ

 また、伏せ込み後の促成床の温度管理も欠かせない。地温を20℃以上に保ち、促成床に張ったトンネル内の気温が10℃以上になるよう管理しながら、発芽が抑制される35℃以上にならないよう注意も払う。
栽培を指導する坂井農林総合事務所農業経営支援部の松下ひろみ主任は「砂地のため、根株を掘り上げる作業がしやすく地域特性にマッチしている」さらに「冬季におけるハウス有効活用のモデルの一つとして、技術向上と生産量拡大の支援をしていきたい」と話す。
ブドウ栽培用ハウスの活用ため、ブドウに発生しやすい害虫・アザミウマがもたらす被害など課題も多くあるが、「地域資源を生かせる新しい農業技術を恐れずに導入し、アスパラを特産品となるよう育てていきたい」と川合さんは意欲を込めて話す。