パワードウェアの可能性
2018年4月4週号
雪かき動画にみるパワードウェアの可能性
腰への負担を軽減するアシストスーツ(以下パワードウェア)が普及し始めているが、荷物等の上げ下ろし以外の運用はあまり知られていない。今冬、パワードウェアメーカーATOUN㈱が発信した雪かき動画が好評で、ウェアの新たな応用・開発に期待が寄せられている。
本県はことし2月に記録的な大雪に見舞われ、国道8号線では最大1500台の車が3日間立ち往生。重機による除雪も進まず、雪かき作業を人力に頼るとういう状況に陥った。
そのような中、同社の藤本弘道社長が投稿したツイッター動画に注目が集まった。パワードウェア着用し、縦横に動いてスコップを振るい、テンポよく雪を除いていく。スコップで雪を持ち上げる際の腰への負担を軽減し、作業効率がアップしている(写真①)。
使われていたウェアは今年の春からサンプル出荷を予定しているMODELYで、従来モデルのMODELAの改良型。重量は40%軽量化(4.4kg)され、身体に接する面積も50%削減。デザインも逆さY字型のスリムなもので通気性も考慮されている。着用はウェアをリュックのように背負って、左右の突起部から伸びるアームを両腿に接続すれば完了。馴れれば着用に1分もかからない(写真②)。
ウェアの機能は10kgの力で前屈から伸長する動きをアシストし(機構図③)、伸長から前屈する動きではブレーキをかけ、腰や背中へかかる負担を軽減するといったものだ。またブレーキにより中腰状態を保持する機能もある。高齢者や女性といった力が弱い方が使用する場合や、負荷の大きい作業を行う場合に力を発揮する。
導入価格はおよそ60~70万円と従来型の半分程度を想定され、リースでの利用も可能ということ。「肩や腕の動きを補助するウェアも開発中。今後も汎用性の高い製品を提供したい」と福井支社長・田中一成さんは話す。
農業は土を相手にする作業が基本で、中腰状態での力仕事も多く、今後の農業分野での活用が期待される。