有害鳥獣 処理効率化
2018年7月4週号
有害鳥獣おがくずで分解
大野市鳥獣害対策協議会は、今年4月に同市木本において、有害鳥獣の死骸をそのまま投入し、おがくずに付着する微生物の力で発酵分解する「有害鳥獣分解処理装置」(以下、分解装置)を導入した。年間約400頭の処理を見込み、捕獲従事者の負担軽減による鳥獣害対策の強化が期待されている。
同市では近年、有害鳥獣の捕獲数が増加しており、2017年にはイノシシとシカ合わせて約600頭が捕獲された。(5年前と比べて、約3倍増)これまでは、猟友会らの捕獲従事者が焼却と埋設で処理していた。焼却炉は小型動物用のため、炉に合う大きさまで解体する必要があり、時間と労力を要していた。埋設は捕獲周辺地域の協力を得て行っていたが、場所の確保が困難な上、捕獲個体の大きさによっては、重機を用いて掘削作業を行うこともあり、地元住民の負担も伴っていた。
分解装置は、北海道のメーカーが開発製造し、幅1.2㍍、高さ1・4㍍、長さ7.2㍍の鋼製直方体で、内部はスクリューを備えた発酵槽となっている。おがくずと水を入れ、ヒーターで温度を60℃、湿度50~60%に保ち、死骸を入れ、スクリューで撹拌する。90㌔のイノシシの場合約9日で分解できる。骨は機械で粉砕し、おがくずとともに一般廃棄物として処分される。
施設には分解装置2基と骨粉砕機、冷蔵庫、天井クレーンがあり、事業費は約5千万円で、国から55%の支援を受けた。
「廃棄されるおがくずを肥料などに有効利用できないかと、成分分析を含めて考えている。処理に要する労力が減ることで、捕獲に重点をおき、鳥獣害対策を進めたい」と同市農業林業振興課・長﨑展代企画主査は話す。