乳酸菌入り植物活力剤開発
2021年2月1週号
株式会社ホクコン 本社福井市今市
「自社の乳酸菌を農業で活用することで、苗が強く育つなどの事例が出ている」と話すのは、株式会社ホクコン(本社福井市今市)環境事業本部技術担当部長の小林修一さん。同社では2010年から乳酸菌を活用した植物活力剤などを研究・開発している。
坂井市丸岡町の株式会社ファーム本田ではこれまでに稲用の植物活力剤を4作使用し、2020年産ではコシヒカリ1・8㌶を栽培した。代表取締役の本田雄輝さんは「植物活力剤を入れた育苗ハウスの苗は強く育ち、根張りが良くなっている。病気にかからないため、減農薬につながっている。倒伏にも強く安定した収量を確保できることが魅力。特別栽培米としての付加価値がある」と話し、21年産も同じ圃場で取り組み、化学肥料を使わない栽培を予定している。
生きた乳酸菌が入った植物活力剤はゲルとゼリー状で水に混ぜて散布する。
稲作では、育苗時、田植え後、中干期、出穂期、秋耕時に使用する。1回の量は10㌃あたり3㎏。圃場では取水口にネットに入れたゲルを置いて水を流して散布することができる。
野菜の栽培でも、収量の増加や減農薬につながる事例が出ており「試してみたいという農業者が全国的に増えてきている」と小林さんは話す。
㈱ホクコンは1949年から始まり、コンクリート事業や環境事業を通して自然災害に強い街づくり、自然と共存できる街づくりを進めている。農業土木分野では蛍や魚など生態系保全に配慮した水路や、耐震性の、ため池底樋菅など様々な製品を開発している。また、水処理技術を活かし、作物の病気が続いている水耕栽培ハウスを高濃度のオゾン水で殺菌するサービスも提供している。
「安心・安全のニーズにこたえ、環境に配慮した農業への取り組みが増えていくといい。4月からは通販も拡大する。自社の技術やノウハウを生かして農業の経営安定に貢献していきたい」と小林さんは話す。
「産・学・官の連携で乳酸菌の研究を進めている」と小林さん㊧と環境事業本部副本部長の川岸稔さん。
植物活力剤は1キロ入り1500円(税抜き)