伝統野菜吉川ナス 次世代につなげたい
2021年8月4週号
千年以上の歴史がある鯖江市の伝統野菜「吉川ナス」を栽培する同市横越町の福岡重光さん(73)は、後世への伝承と生産普及にまい進している。
2009年12月、吉川ナスの栽培農家が1軒となり、生産が途絶えかけた。そこで、農家有志らが立ち上がり、行政とJAの協力を得て、最後の生産者から種を受け継ぎ、「鯖江市伝統野菜等栽培研究会」が結成された。研究会では定期的に栽培講習会を開催し、同じ品質のナスを出荷できるよう努めている。
また、16年には地域に関わる高品質な産品を国が登録・保護する制度のGI登録(地理的表示保護制度)の認定を受け生産拡大が進んだ。
吉川ナスは丸ナス品種で光沢のある濃い紫色をしていることから〝黒い宝石〟と呼ばれている。形状はソフトボール大で、重さは400グラムぐらいで収穫する。
また、外皮が薄く柔らかく、よく締まった肉質で煮崩れしにくいため、料亭などで重宝されているという。
収穫は6月から11月末まで行われ、市内の道の駅や県内のスーパー、県内外のレストランや料亭に出荷される。「昨年は3万9千個を出荷した。今後、さらに生産量を増やし、多くの人に知ってもらい、次の世代に繋げていきたい。」と笑顔で話してくれた。
「輪切りにし加熱して田楽にするとおいしいです。」と話す福岡さん。