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働きやすい環境へスマート農業実践 女性がリードする営農モデルに

2022年3月3週号

三姉妹で多品目経営

坂井市 伊藤彩華(いとう あやか)さん、優希(ゆうき)さん、美香(みか)さん

「家族を支えるだけでなく、女性が農業経営をリードするモデルになる」と話すのは、坂井市坂井町の伊藤(あや)()さん(30)。父親の浩一(ひろかず)さん(55)が経営する「株式会社ef」で、妹の(ゆう)()さん(27)と美香(みか)さん(24)とともに、最新のスマート農業技術を利用しながら、多品目を栽培する複合農業に取り組む。

 彩華さんは大学卒業後、地元企業に就職したが、2018年に浩一さん夫妻が始めたefの人手が足りなかったことから、長女の自分が支えようと、19年に脱サラし就農した。

 子供のころから農業を手伝っていた彩華さんが、就農して一番苦労したのが農業機械の操縦だ。浩一さんに教わりながら、トラクターや田植え機に乗るものの、まっすぐ進むことも難しかった。その横で、きれいにすんなりとこなす父の姿を見て、技術と経験のすごさを改めて実感したという。

 そんな中、スマート農業のことを知った浩一さんは「この技術を活用すれば、経験が少ない女性にも、農業で働きやすい環境づくりができるのでは」と考え導入に踏み切った。

 

 20年に導入した直進アシスト機能を搭載した田植機の作業では、直進作業が蛇行することなく安定し、1圃場にかかる作業の手間が少なくなった。

 2人がかりだった肥料散布は、優希さんとともにドローン(小型無人機)操縦資格を昨年取得し、おのおので作業することで、省力化に加え、適期を逃さず散布できるようになった。

 昨年は三女の美香さんが関西から戻り、秋から同社に入社。イチゴのカット加工や販売に貢献している。浩一さんは「今では3人がメインに作業してくれているので、自分の作業負担が少なくなり、とても助かっている」と笑顔で話す。

 彩華さんは「私たちのような女性でも、スマート農業のおかげで農業機械の作業ができている。これから三姉妹で女性の営農スタイルを確立していきたい」と意気込んでいる。

▽栽培品目(水稲18.1㌶、麦9.8㌶、大豆5.3㌶、そば2.7㌶、白ネギ1.5㌶、イチゴ12㌃)

イチゴ収穫作業中の彩華さん(手前)、優希さん(左)、美香さん。

「コロナが収まったら家族でUSJに行きたい」と話す

肥料散布用の大型ドローンをチェックする彩華さん