カメラと共に50年 当たり前の農村風景大切に残したい
2023年2月2週号より
福井市 東 守(あずま まもる)さん
「写真は、今はない昔ながらの農村風景を後世に残す一つの手段」と話すのは、福井市別所町の東守さん(75)。水稲2㌶を生産する傍ら、趣味のカメラを手に50年以上にわたり県内各地の農村の風景を撮り続けている。
「17歳の時に写真のネガフィルムの現像に興味を持ち、写真を撮るようになった」という東さん。県内企業に就職後も、休みの日には田んぼの手伝いをしながら、県内外へ写真を撮りに出かけていたという。
2012年に定年退職した後、親から受け継いだ農業をしながら、これまで撮りためてきた写真を自費出版してきた。
16年には『うららの福井・50年 麗しの越前若狭』を出版。詩人の山田清吉氏の詩とともに越前海岸のすぐ近くで田植えをする女性たちの姿やおばあさんがお地蔵様に花を供える姿など昔懐かしい風景のほか、東さんが偶然目にした福井の春夏秋冬の農村風景が数多く収められている。「当たり前にある風景もほかの人から見ると、懐かしく素晴らしいと思える風景となる」と話す東さん。
町内を流れる足羽川用水は、16年に「世界かんがい施設遺産」に登録されている。「これからも当たり前にあるものを大切に守り、写真に収めながら、後世に伝えていきたい」と笑顔で話してくれた。
「写真のおかげで、外を歩くことが多く、健康で何年も病気ひとつしていない」と東さん。「一乗谷朝倉氏遺跡」に関係する写真集を出す準備をしている
『うららの福井・50年 麗しの越前若狭』を手に東さん。作品は17年の第20回日本自費出版文化賞グラフィック部門で入選した